日本酒読本
第17回
適量飲酒で、ほろ酔い気分。
楽しいお酒で、楽しいコミュニケーションを。
島田 一男 (しまだ かずお)さん

1923年、岩手県出身。
川村学園女子大学文学部長・心理学教授。
聖心女子大学名誉教授。

「日本人に日本酒は、とても大切なものでした。」

 「日本酒は、もともと儀礼のものとして起こりました。それぞれの村や集落で、大切なお米から神に捧げる日本酒を造ったのが始まりです。それが長い歴史の中で、多様な社会的背景のもとで、飲酒が習慣として形成されてきたのです。」
さらに、専攻の社会心理学の立場から、日本人の飲酒習慣を形成する要素を分析されています。
 「日本人は自己開示が下手な、精神的緊張度の高い民族です。コミュニケーションが苦手で、お酒を通じてはじめて
スムーズな
コミュニケーションがてきるという希有な民族ともいえます。日本人にとっては、日本酒が単なる
儀礼にとどまらず、社会生活の中で潤滑油として重要な役割を果たすものとなってきたのも納得がいくことです。」

「適量飲酒で、<ほろ酔い気分>がベストでしょう。」

 「日本酒を代表とするお酒には、スムーズなコミュニケーションを促進する効果があります。
しかし、それは
適量飲酒の範囲です。酔いつぶれるまで飲んでしまっては、コミュニケーションもできません。気分の良さを伴いながら、平常時の生活規範が守れる範囲。普段より少し陽気に、開放的になったり、笑ったり、歌を歌ったりする程度の酔い、つまり、いわゆる <ほろ酔い状態> が、コミュニケーションをより良い方向に導いてくれます。
量でいうなら、日本酒で2〜3合が標準です」

「日常性からの離脱が、精神的な疲れも癒します」

 「お酒のもう一つの効能に
<緊張からの解放> があります。 <日常性からの離脱> と言ってもいいでしょう。旅行に出かけたときのように、非日常性の中に身を置ける点がお酒の良いところです。これは、肉体的な疲れをとってくれるとともに、精神的な疲れをも癒してくれます。コミュニケーションの促進でも、日常性からの離脱でも、要はお酒が緊張を解きほぐし、お互いの感情の溶け合いを促してくれるのです。」
座右の銘は・・・
「山中にて幽人と対酌す。 両人対酌すれば山花開く。
 一杯、一杯、また一杯。」(李白)


※ゆっくりした気分で楽しく飲むことを心がければ、花も開くという事
もっとお酒が楽しくなる「日本酒読本」より
[発行:日本酒造組合中央会]

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